リズムプリーツの魅力 『ISSEY MIYAKE 三宅一生』刊行記念展

21_21 DESIGN SIGHT GALLERY 3 で刊行記念展が開催中

4月22日、TASCHEN社から『ISSEY MIYAKE 三宅一生』増補改訂版が日本で発売された。

六本木の21_21 DESIGN SIGHTのGALLERY 3 で刊行記念展が開催中だ。

書籍とともに、表紙に掲載された《リズム・プリーツ》と発表当時のポスターが展示されている。

この《リズム・プリーツ》は1990年春夏コレクションで発表された服で、複数のバリエーションがある。丸や楕円、四角い布が、人が着用することによって劇的なフォルムの立体となる、三宅一生の代表作のひとつだ。

布がこんなかたちになるなんて

展示されている2点の《リズム・プリーツ》は今回のために再制作された。素材は街でよく見かけるプリーツプリーズと異なり、ポリエステルと麻による布帛。ニットではない。ややシャリっとしたマットな質感。

これらのドレスは平置きでは一枚の布。といっても袋状の構造になっており、体を入れて衿の穴から頭部を出して着る。衿あきと袖口の位置がずれているために、3次元のフォルムが生まれる。たとえば楕円のドレスの場合、右の袖口は後ろに開けられているのだ。

 

実際に見て、後ろ姿のダイナミックさに驚く。

特に裏表紙に使われている四角のドレスの後ろ姿は、布と人がつくりあげる彫刻さながら。写真からは想像しがたいほどだ。

ひだがあること。いさぎよく2色が使われていること。前述した開口部の設計。

それだけでこのフォルムが生まれていることを目の当たりにすると、胸がスカッとする。面白いでしょう? という作り手の声が聞こえてくるようだ。

実見できる貴重な機会

《リズム・プリーツ》は2016年に国立新美術館で開催された「MIYAKE ISSEY展」でも展示されていた。だが、あの時はあまりの展示ボリュームに圧倒されてこのドレスに集中できなかった記憶がある。

書籍の世界を立体的に視覚化したこの展示は、三宅一生の仕事を体験できる貴重な機会だと思う。編集を担当した立場であっても、新たな驚きと発見があった。

1990年春夏コレクションで発表されたプリーツ素材の服は他にもある。いずれもアンリ・ルソーの代表作である《夢》(1910年)から着想されているらしい。いつか、すべてが並んでいる展示を見てみたい。

展示は4月29日(月・祝)まで。入場無料。

 

 

 

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