NO PRPBLEM、「問題ない」という言葉を冠した本展は、日用品を商う人々が日々格闘している検品をテーマにしています。
一見、とても地味に見えますが、実はこの検品、調査してみると意外と奥が深いのです。
みなさんは検品の基準とはどこにあると思いますか? 流通している商品はどれも独自の基準をもって検品され、市場に送り出されています。しかしその背後にはとても人間くさいドラマがあるのです。
機能的にはまったく問題ないけれど、ちょっとしたキズをみつけてしまった。しかしそれは気づく人しか気づかない程度のキズ。そこで売り手は悩みます。
はたしてこれを売ってよいものか。製造過程でどうしてもできてしまうキズをいちいち気にしていたら、どんどんと売ることができない商品が溜まっていってしまう。
売れないということはそのロス分が価格にも反映されるということ。
これは使い手にとって果たしてありがたいことなのだろうか。
この問題を使い手のみなさんと一緒に考えようというのが展覧会のねらいです。
作り手(売り手)も、使い手(買い手)も、お互いが少し歩み寄ることで道具やものについてもっと愛情が持てるようになる。それが暮らしをもっと楽しく豊かにするはずです。
つまり、本展は日用品を通して寛容な生き方を問う展覧会でもあるのです。
展覧会のサブタイトルは、
「To “B” or not to “B”,
――日用品をとおして生き方を考える。」
検品でB品にするかどうしようかと悩む作り手は、いわばハムレット。
彼らの悩みに、実際の日用品をとおして耳を傾けてみて下さい。
そのひたむきで誠実な姿に共感すること請け合いです。
そして最後に、ノープロブレムとつぶやいている自分に気づくでしょう。
で、本件におけるカワイイファクトリーは何をしたかといいますと、コンセプトの立案、リサーチの方法について編集的な視点から意見を述べ、プロジェクトチームのまとめ役としての役割を担いました。
もちろん、取材にも同行し、展覧会のストーリーメーキングはじめ、キャプションテキスト作成など実務面でのサポートも行なっています。
展覧会と同時刊行した「NO PROBLEM」というタブロイドもぜひ読んで下さい。こちらは展示しきれなかったインタビューをまとめています。
1号(特集 To "B," or not to "B,")と2号(特集 インドで考える NO PROBLEM)の2分冊(税込各324円)です。
NO PROBLEM展
To “B” or not to “B”, ――日用品をとおして生き方を考える。
[東京展]
会期:2017年6月20日(火)ー7月17日(月・祝)
開場:11:00ー20:00 会期中無休 入場無料
会場:GOOD DESIGN Marunouchi
https://www.jidp.or.jp/2017/05/31/20170530-1
[神戸展]
会期:2017年7月29日(土)ー8月13日(日)
開場:11:00ー19:00 月曜休 入場無料
開場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)
http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/22374/